Web制作の現場でプルダウンメニューを実装する際、「HTMLでの基本的な書き方は?」「JavaScriptで選択中の値やテキストをどう取得するの?」「選択肢を動的に変更したり、連動させたりするにはどうすればいい?」といった疑問や詰まりに直面していませんか? なお、CSSで実装するグローバルナビゲーションのホバーメニューは本記事の対象外となります。
プルダウンメニューは基本的に <select> 要素を用いて作成し、JavaScriptを組み合わせることで、値の取得・変更、選択肢の動的追加、さらには都道府県と市区町村の連動といった高度な制御まで自在に実装できます。
HTMLでプルダウンメニューを作る基本

<select>と<option>を使ったプルダウンの作り方
プルダウンメニューは、<select>要素と選択肢を定義する<option>要素を組み合わせて作成します。最小限のコードで実装でき、属性を付与することで初期選択や複数選択などの挙動を制御できます。
<select name="fruit" id="fruit">
<option value="" disabled selected>選択してください</option>
<option value="apple">りんご</option>
<option value="orange">みかん</option>
<option value="grape">ぶどう</option>
</select>コードの要点解説
<select>要素の中に、個別の選択肢となる<option>要素を並べて配置します。- 先頭の
<option>にvalue=""、disabled、selectedを付与することで、未選択状態のプレースホルダ(初期メッセージ)として機能させることができます。 - ユーザーが選択肢をクリックすると、対応する
value属性の値が選択値として保持されます。
注意点
multiple 属性を追加すると複数選択リストになり、size 属性で一度に表示する行数を指定できますが、通常のドロップダウンとはUIが大きく変わるため用途に注意してください。また、関連する選択肢をグループ化したい場合は <optgroup label="グループ名"> を使うことで、セレクトボックス内を階層的に整理できます。
label・name・value・requiredの役割と設定方法
フォームとしてのアクセシビリティを高め、正しくデータを送信するためには、label、name、value、required 属性を適切に設定することが重要です。
<div>
<label for="prefecture">都道府県</label>
<select id="prefecture" name="prefecture" required>
<option value="" disabled selected>都道府県を選択</option>
<option value="tokyo">東京都</option>
<option value="osaka">大阪府</option>
</select>
</div>コードの要点解説
<label>のfor属性の値と、対応する<select>のid属性の値を完全に一致させることで、ラベルをクリックした際にもプルダウンにフォーカスが当たるようになります。name属性は、フォーム送信時にサーバーへデータを送る際のキー(識別子)として機能します。value属性は、実際にサーバーへ送信される値です。未指定の場合は<option>内のテキストが送信されますが、プログラムやバックエンド連携の観点から明示的に英数字の値を設定するのが一般的です。required属性を指定すると、未選択(プレースホルダが選択された状態)のままフォームを送信しようとした際にブラウザのバリデーションエラーが発生します。
注意点
required を利用する際は、先頭のプレースホルダ用 <option> の value を必ず空文字(value="")に設定してください。値が入っていると、未選択であっても入力済みと判定されてしまうため注意が必要です。
CSSでプルダウンの幅・余白・矢印をカスタマイズする方法
ブラウザ標準のプルダウンはOSや環境によって見た目が大きく異なるため、CSSを用いてデザインを統一します。
<select class="custom-select" id="plan" name="plan">
<option value="" disabled selected>プランを選択</option>
<option value="free">無料プラン</option>
<option value="pro">プロプラン</option>
</select>
<style>
.custom-select {
width: 100%;
max-width: 300px;
padding: 10px 36px 10px 12px;
font-size: 14px;
color: #333;
background-color: #fff;
border: 1px solid #ccc;
border-radius: 4px;
appearance: none;
background-image: url('data:image/svg+xml;charset=UTF-8,<svg xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" width="12" height="12" viewBox="0 0 24 24" fill="none" stroke="%23666" stroke-width="2" stroke-linecap="round" stroke-linejoin="round"><polyline points="6 9 12 15 18 9"></polyline></svg>');
background-repeat: no-repeat;
background-position: right 12px center;
}
.custom-select:focus {
outline: none;
border-color: #0066cc;
box-shadow: 0 0 0 2px rgba(0, 102, 204, 0.2);
}
</style>コードの要点解説
appearance: none;を指定することで、ブラウザ固有のデフォルトの矢印アイコンやスタイルを完全に消去します。- 消去した矢印の代わりに、
background-imageにSVGデータを指定し、background-positionで右側に配置することで独自の矢印アイコンを表示します。 :focus疑似クラスを用いて、キーボード操作時やタップ時にフォーカス枠(アウトライン)を付与し、アクセシビリティを確保します。
注意点
<option> 要素自体の内部スタイル(文字色、背景色、フォントなど)はブラウザの制約が多く、CSSで細かく装飾することが困難です。デザイン性を厳密にコントロールしたい場合は、標準の <select> を使うのではなく、次のセクションで解説するカスタムドロップダウンの自作を検討してください。
JavaScriptでプルダウンの選択値を取得・変更する方法

getElementById()とquerySelector()でselect要素を取得する
JavaScriptでプルダウンを操作するには、まず対象の <select> 要素をJavaScript上に取得します。IDが明確に決まっている場合は処理の効率と可読性に優れる getElementById() を、クラス名や階層構造を指定したい場合は querySelector() を使い分けます。
<select id="fruit-select">
<option value="apple">りんご</option>
<option value="orange">みかん</option>
</select>
<script defer>
// IDを指定して取得する場合
const selectById = document.getElementById('fruit-select');
// CSSセレクタを指定して取得する場合
const selectByQuery = document.querySelector('#fruit-select');
</script>コードの要点解説
getElementById('id名')は、HTML側で定義された一意のidを元に高速に要素を特定します。querySelector('セレクタ')は、CSSと同じ記法(#idや.classなど)を用いて柔軟に要素を検索・取得できます。
注意点
HTMLの読み込み完了前にスクリプトが実行されると要素が取得できず null になるため、スクリプトタグに defer 属性を付与するか、DOMContentLoaded イベント内で処理を記述してください。
valueとchangeイベントで選択された値を取得する
選択された値の取得には、要素の value プロパティを参照し、ユーザーが操作したタイミングを検知するために change イベントと event.target を組み合わせます。
<select id="color-select">
<option value="" disabled selected>色を選択してください</option>
<option value="red">赤</option>
<option value="blue">青</option>
<option value="green">緑</option>
</select>
<p id="output">選択された値: なし</p>
<script defer>
const colorSelect = document.getElementById('color-select');
const output = document.getElementById('output');
colorSelect.addEventListener('change', (event) => {
const selectedValue = event.target.value;
const selectedText = colorSelect.options[colorSelect.selectedIndex].text;
output.textContent = `選択された値: ${selectedValue} (${selectedText})`;
});
</script>コードの要点解説
event.target.valueを参照することで、新しく選択された<option>のvalue属性の文字列を取得できます。colorSelect.options[colorSelect.selectedIndex].textを併用すると、画面に表示されているテキスト(「赤」や「青」など)もあわせて取得できます。- イベントハンドラ内では
thisではなくevent.targetを使用することで、スコープの明確化とコードの可読性を保ちます。
注意点
multiple 属性が付与された複数選択可能なプルダウンの場合、単一の value プロパティでは正しく値が取得できないため、select.selectedOptions からループ処理などで各要素を取り出す必要があります。
valueとselectedIndexで選択状態を変更する
プログラムからプルダウンの選択状態を書き換えるには、select.value に目的の値を代入するか、何番目の選択肢かを示す select.selectedIndex にインデックス番号を指定します。
<select id="size-select">
<option value="s">Sサイズ</option>
<option value="m">Mサイズ</option>
<option value="l">Lサイズ</option>
</select>
<button id="change-btn" type="button">Mサイズに変更</button>
<script defer>
const sizeSelect = document.getElementById('size-select');
const changeBtn = document.getElementById('change-btn');
changeBtn.addEventListener('click', () => {
// valueプロパティで変更する場合
sizeSelect.value = 'm';
// インデックス番号(0始まり)で変更する場合
// sizeSelect.selectedIndex = 1;
});
</script>コードの要点解説
select.value = 'm'と記述すると、対応するvalue="m"を持つ<option>が自動的に探されて選択状態に切り替わります。select.selectedIndex = 1のように指定すると、先頭から2番目(インデックス1)の選択肢を選択状態にします。
注意点
存在しない value(オプションに定義されていない文字列)を代入した場合、どの選択肢も選択されず、selectedIndex が 1 になりプルダウンの表示が空(またはプレースホルダ状態)になるため注意してください。
JavaScriptでプルダウンの選択肢を動的に変更する方法
JavaScriptで選択肢を追加・削除・更新する方法
プルダウンの選択肢(<option>)を動的に追加・削除するには、DOM操作メソッドや new Option() コンストラクタを使用します。
<select id="dynamic-select">
<option value="" disabled selected>選択してください</option>
<option value="item1">項目1</option>
</select>
<button id="add-btn" type="button">項目を追加</button>
<button id="remove-btn" type="button">選択項目を削除</button>
<button id="clear-btn" type="button">すべて削除</button>
<script defer>
const select = document.getElementById('dynamic-select');
// 選択肢の追加 (new Optionの使用)
document.getElementById('add-btn').addEventListener('click', () => {
const newOption = new Option('項目2', 'item2');
select.add(newOption);
/* document.createElementを使う場合の記述例
const opt = document.createElement('option');
opt.value = 'item2';
opt.textContent = '項目2';
select.appendChild(opt);
*/
});
// 選択されている項目の削除
document.getElementById('remove-btn').addEventListener('click', () => {
if (select.selectedIndex !== -1) {
select.remove(select.selectedIndex);
}
});
// 全削除
document.getElementById('clear-btn').addEventListener('click', () => {
select.options.length = 0;
// または select.replaceChildren();
});</script>コードの要点解説
new Option(text, value)を使うと、簡潔に新しいオプション要素を作成できます。select.add(option)またはselect.appendChild()でセレクトボックスの末尾に要素を追加します。- 全削除には
select.options.length = 0やselect.replaceChildren()を用いることで効率的に子要素をクリアできます。
注意点
innerHTML += を用いて選択肢を追加すると、セレクトボックス内のすべてのDOM要素が再構築されるため、ユーザーが選択していた状態や既存のイベントリスナが失われます。動的な変更は必ず専用のDOM操作メソッドやプロパティで行ってください。
APIから取得したデータをプルダウンに反映する方法
外部APIから非同期でデータを取得し、プルダウンの選択肢として動的に挿入するには、async/await と fetch APIを活用します。
<select id="api-select">
<option value="" disabled selected>データを読み込み中...</option>
</select>
<script defer>
async function loadCategories(){
const select = document.getElementById('api-select');
try {
// サンプル用のダミーURL
const response = await fetch('https://api.example.com/categories');
if (!response.ok) {
throw new Error('データの取得に失敗しました');
}
const data = await response.json();
// 読み込み中表示をクリアしプレースホルダを再設定
select.options.length = 0;
select.add(new Option('カテゴリーを選択', ''));
// データをループして追加
data.forEach(item => {
const option = new Option(item.name, item.id);
select.add(option);
});
} catch (error) {
select.options.length = 0;
select.add(new Option('データの取得に失敗しました', ''));
console.error(error);
}
}
loadCategories();</script>コードの要点解説
try...catch構文でエラーハンドリングを行い、response.okでHTTPステータスコードのエラーを確実に検知します。- APIから取得したテキストは
new Option()やtextContentを経由して挿入されるため、安全にテキストデータとして反映されます。
注意点
APIのレスポンスや外部データを innerHTML に文字列として結合して挿入することは、クロスサイトスクリプティング(XSS)脆弱性を引き起こす原因となるため避けてください。また、サンプルで使用しているURLはダミーです。実運用時は実際のAPIエンドポイントに書き換えてください。
都道府県と市区町村の連動プルダウンを実装する方法
親プルダウン(都道府県)の選択値に応じて、子プルダウン(市区町村)の選択肢を動的に切り替える連動機能を実装できます。
<div>
<label for="pref-select">都道府県</label>
<select id="pref-select" name="prefecture">
<option value="" disabled selected>都道府県を選択</option>
<option value="tokyo">東京都</option>
<option value="osaka">大阪府</option>
<option value="hokkaido">北海道</option>
</select>
</div>
<div style="margin-top: 12px;">
<label for="city-select">市区町村</label>
<select id="city-select" name="city" disabled>
<option value="" disabled selected>まず都道府県を選択してください</option>
</select>
</div>
<script defer>
const cityData = {
tokyo: [
{ name: '千代田区', value: 'chiyoda' },
{ name: '新宿区', value: 'shinjuku' },
{ name: '渋谷区', value: 'shibuya' }
],
osaka: [
{ name: '大阪市', value: 'osaka-city' },
{ name: '堺市', value: 'sakai' }
],
hokkaido: [
{ name: '札幌市', value: 'sapporo' },
{ name: '函館市', value: 'hakodate' }
]
};
const prefSelect = document.getElementById('pref-select');
const citySelect = document.getElementById('city-select');
prefSelect.addEventListener('change', (event) => {
const selectedPref = event.target.value;
// 子プルダウンを初期化して一度非活性にする
citySelect.options.length = 0;
citySelect.add(new Option('市区町村を選択', ''));
citySelect.disabled = true;
if (selectedPref && cityData[selectedPref]) {
cityData[selectedPref].forEach(city => {
citySelect.add(new Option(city.name, city.value));
});
citySelect.disabled = false; // 対応するデータがあれば活性化
}
});</script>コードの要点解説
- 親プルダウンの
changeイベントを監視し、選択されたキーに対応するマスターデータを子プルダウンへ動的に展開します。 - 親が未選択の状態やデータが存在しない場合は、子プルダウンに
disabled = trueを設定して誤操作を防ぎます。 - HTML側の
<label>のfor属性と<select>のid属性がそれぞれ正しく一致しています。
注意点
親の選択を変更した際には、必ず子プルダウンの選択肢をすべてクリアし、プレースホルダ表示と無効化状態にリセットする処理を記述してください。リセットを行わないと、古い選択肢が残留する不具合の原因になります。
クリックで開閉するカスタムドロップダウンメニューの作り方

HTMLのselectとカスタムドロップダウンの違い
標準の <select> 要素はアクセシビリティやモバイル端末での操作性に優れている一方、CSSによる内部の装飾(オプションの背景色やアイコン付与など)に強い制限があります。デザインの自由度を最優先する場合のみ、カスタムドロップダウンを検討します。
| 項目 | 標準の <select> | カスタムドロップダウン |
|---|---|---|
| 見た目の自由度 | 低(ブラウザ・OS依存) | 高(CSSで完全に自由に装飾可能) |
| キーボード操作 | ブラウザ標準で完備 | JavaScriptで独自に実装が必要 |
| スクリーンリーダー | 標準で高いアクセシビリティ | ARIA属性の適切な付与が必須 |
| スマホのネイティブUI | OS固有のピッカーが起動 | HTML要素としてページ内に展開 |
| 実装コスト | 極めて低い | 高い(メンテナンス負荷増) |
判断基準
基本的には、メンテナンス性とアクセシビリティの観点から標準の <select> の使用を推奨します。ブランドガイドラインや厳密なUIデザイン要件により、どうしても独自のスタイルが必要な場合のみカスタムドロップダウンを採用してください。
JavaScriptとbutton要素でクリック開閉を実装する方法
<button> 要素とリスト構造(<ul> / <li>)を組み合わせ、ARIA属性とJavaScript制御によってアクセシビリティを配慮したカスタムドロップダウンを実装します。
<div class="custom-dropdown" id="customDropdown">
<button type="button" class="dropdown-toggle" id="dropdownBtn" aria-expanded="false" aria-haspopup="listbox">
選択してください
</button>
<ul class="dropdown-menu" role="listbox" tabindex="-1">
<li role="option" aria-selected="false" data-value="tokyo">東京都</li>
<li role="option" aria-selected="false" data-value="osaka">大阪府</li>
<li role="option" aria-selected="false" data-value="hokkaido">北海道</li>
</ul>
<input type="hidden" name="region" id="dropdownValue" value="">
</div>
<style>
.custom-dropdown {
position: relative;
width: 100%;
max-width: 300px;
font-size: 14px;
}
.dropdown-toggle {
width: 100%;
padding: 10px 12px;
text-align: left;
background-color: #fff;
border: 1px solid #ccc;
border-radius: 4px;
cursor: pointer;
}
.dropdown-menu {
position: absolute;
top: 100%;
left: 0;
right: 0;
margin: 4px 0 0;
padding: 0;
list-style: none;
background-color: #fff;
border: 1px solid #ccc;
border-radius: 4px;
box-shadow: 0 4px 6px rgba(0,0,0,0.1);
display: none;
z-index: 10;
}
.custom-dropdown.is-open .dropdown-menu {
display: block;
}
.dropdown-menu li {
padding: 10px 12px;
cursor: pointer;
}
.dropdown-menu li:hover {
background-color: #f0f0f0;
}
</style>
<script defer>
const dropdown = document.getElementById('customDropdown');
const btn = document.getElementById('dropdownBtn');
const hiddenInput = document.getElementById('dropdownValue');
const options = dropdown.querySelectorAll('[role="option"]');
// トグル開閉
btn.addEventListener('click', () => {
const isOpen = dropdown.classList.toggle('is-open');
btn.setAttribute('aria-expanded', isOpen);
});
// 項目選択時の処理
options.forEach(option => {
option.addEventListener('click', () => {
const value = option.getAttribute('data-value');
const text = option.textContent;
btn.textContent = text;
hiddenInput.value = value;
// 選択状態の更新
options.forEach(opt => opt.setAttribute('aria-selected', 'false'));
option.setAttribute('aria-selected', 'true');
// メニューを閉じる
dropdown.classList.remove('is-open');
btn.setAttribute('aria-expanded', 'false');
btn.focus();
});
});
// 外側クリックで閉じる
document.addEventListener('click', (event) => {
if (!dropdown.contains(event.target)) {
dropdown.classList.remove('is-open');
btn.setAttribute('aria-expanded', 'false');
}
});
// Escキーで閉じる
document.addEventListener('keydown', (event) => {
if (event.key === 'Escape') {
dropdown.classList.remove('is-open');
btn.setAttribute('aria-expanded', 'false');
btn.focus();
}
});
</script>コードの要点解説
aria-expanded属性を動的に切り替えることで、メニューの開閉状態をスクリーンリーダーなどの支援技術に伝達します。- フォーム送信用の値は
<input type="hidden">に保持させ、項目がクリックされた際にテキストと値を同時に更新します。 - 外側クリックの検知や
Escapeキーの入力ハンドリングを実装し、ユーザーの直感的な操作感に配慮しています。
注意点
上下矢印キーによるフォーカス移動や、文字入力によるインクリメンタルサーチなどの高度なキーボード操作を完全に実装するには膨大なコードと検証が必要です。複雑なキーボードアクセシビリティが要求される場合は、自作のカスタムドロップダウンではなく、標準の <select> 要素の利用を強く判断基準として選択してください。
プルダウンメニューの実装でよくある疑問とトラブル

JavaScriptで選択した値を取得できない原因と対処法
JavaScriptでプルダウンの選択値が正しく取得できない場合、主にHTMLの記述ミスやDOMの読み込みタイミング、属性の設定漏れが原因として考えられます。
主な原因と修正方法
IDの不一致・タイプミス
- 症状:
nullやCannot read properties of nullのエラーが発生する。 - 原因: JavaScript側で指定しているID名が、HTML側の
id属性と一致していない。 - 修正コード:
<!-- 誤り: id="fruit-select" なのに getElementById('fruits') を呼んでいる -->
<select id="fruit-select">...</select>
<script>
// 正しく一致させる
const select = document.getElementById('fruit-select');
</script>DOM読み込み前のスクリプト実行
- 症状: スクリプトが要素を認識できず値が取得できない。
- 原因: HTMLのレンダリング前にスクリプトが実行されている。
- 修正コード:
<!-- scriptタグに defer 属性を付与する -->
<script src="script.js" defer></script>value属性の未設定
- 症状: 予期しないテキストや空文字が返される。
- 原因:
<option>タグにvalue属性が記述されていない。 - 修正コード:
<!-- 誤り: valueがない -->
<option>りんご</option>
<!-- 修正: value属性を明示する -->
<option value="apple">りんご</option>複数要素で同じIDが使われている
- 症状: 意図しない別の要素が取得される。
- 原因: HTMLの仕様に反して、ページ内で同一の
idを複数の要素に付与している(IDはページ内で一意である必要があります)。
JavaScriptで値を変更してもchangeイベントが発生しない場合
プログラムから select.value = 'apple' のように値を書き換えた場合、ユーザーの手動操作とは異なり、自動的に change イベントは発火しません。連動プルダウンや他の処理を連鎖させたい場合は、明示的にイベントを手動でディスパッチ(発火)させる必要があります。
<select id="item-select">
<option value="a">プランA</option>
<option value="b">プランB</option>
</select>
<button id="program-btn" type="button">プログラムからプランBに変更</button>
<script defer>
const select = document.getElementById('item-select');
const btn = document.getElementById('program-btn');
// changeイベントの監視
select.addEventListener('change', (e) => {
console.log('値が変更されました:', e.target.value);
});
btn.addEventListener('click', () => {
// 値をプログラムから変更
select.value = 'b';
// changeイベントを手動で発火させる
select.dispatchEvent(new Event('change', { bubbles: true }));
});
</script>コードの要点解説
select.dispatchEvent(new Event('change', { bubbles: true })) を実行することで、プログラムによる値の変更であっても、登録されている change イベントリスナを確実に呼び出すことができます。
HTMLのselectとinput・datalistの違い
HTMLにおいて「input type="プルダウン"」という指定や要素は存在しません。プルダウンメニューは必ず <select> 要素で作成します。一方で、自由入力を受け付けつつ候補をサジェスト表示したい場合は <input> と <datalist> を組み合わせます。
| 項目 | <select> (プルダウン) | <input> + <datalist> (候補付き入力) |
|---|---|---|
| 自由入力の可否 | 不可(用意された選択肢のみ) | 可能(選択肢以外のテキストも入力できる) |
| 候補の表示方法 | クリック時にドロップダウン展開 | 入力に応じて候補をフィルタリング表示 |
| スタイル・デザイン | OSやブラウザの標準UIに依存しやすい | 標準のテキスト入力欄ベースで装飾可能 |
| 主な用途 | 都道府県、性別、プラン選択など | 検索キーワードの候補、既存データの選択 |
使い分けの判断基準
ユーザーに決まった選択肢の中から確実にどれか一つを選ばせたい場合は、必ず <select> を使用してください。自由入力と候補提示を同時に実現したい場合のみ <datalist> を検討します。
よくある質問(FAQ)
-
プルダウンとドロップダウンの違いは何ですか?
-
プルダウンとドロップダウンは、一般的に画面上に項目のリストが展開されるUIを指す同義語として使われます。厳密には、クリックやホバーでメニューが出現する仕組み全般を「ドロップダウン」と呼び、その中でも上から下に項目を引き下ろして選ぶ形式のものを特に「プルダウン」と呼びます。Web制作の現場では、主に
<select>要素を用いたセレクトボックスを総称してこう呼ぶことが一般的です。
-
選択したら自動でリンク先に移動させるにはどうすればいいですか?
-
プルダウンの
changeイベントを検知し、location.hrefに選択された値のURLを代入することで実現できます。ただし、ユーザーが意図しないタイミングでページが遷移するユーザビリティ上の懸念があるため、原則として移動ボタンを併設するフォーム形式のほうが推奨されます。const jumpSelect = document.getElementById('jump-select'); jumpSelect.addEventListener('change', (event) => { if (event.target.value) { location.href = event.target.value; } });
-
実装にjQueryや外部ライブラリは必要ですか?
-
通常のプルダウンメニューの実装にjQueryや外部ライブラリは一切不要です。現代のブラウザ環境では、標準のHTML要素とプレーンなJavaScript(バニラJS)だけで、値の取得や動的な選択肢の追加、連動機能などのすべての要件を十分に満たすことができます。不要なライブラリの読み込みを避けることは、ページの読み込み速度やパフォーマンスの最適化にも大きく貢献します。
-
スマホでプルダウンが使いにくいときはどうすればいいですか?
-
モバイル端末での操作性を改善したい場合は、CSSで無理に独自の複雑なドロップダウンを自作せず、OSが提供する標準のネイティブUIを活かす設計にするのが最も確実です。スマートフォンではOSごとのネイティブなピッカー(選択画面)が最も最適化されており、タップ領域やアクセシビリティの面で一貫した使いやすさが担保されます。特定の端末を判別するUA判定による複雑な分岐実装は避けましょう。
-
ReactやVueなどのフレームワークでも同じ書き方でいいですか?
-
ReactやVueなどのモダンフロントエンドフレームワークでも、HTMLの
<select>と<option>をベースにする基本構造そのものは変わりません。ただし、DOMを直接書き換えるのではなく、コンポーネントの状態(State)と値を紐づけて宣言的に管理する点がプレーンなJavaScriptとの違いです。フレームワーク固有の詳細な実装手順については、別記事での解説を参考にしてください。
まとめ
本記事では、HTMLの基本からJavaScriptを用いた値の取得・変更、動的な選択肢の追加、さらに都道府県の連動プルダウンやカスタムドロップダウンの実装方法まで詳しく解説しました。プルダウンメニューは標準の <select> 要素を基本としつつ、要件に応じてJavaScriptを組み合わせることで、柔軟かつ実用的なフォームを構築できます。今回紹介したコードやトラブルシューティングを参考に、適切なアクセシビリティとメンテナンス性を意識した実装を行ってください。


