「GraphQLは流行らない?」REST全盛期から現在までの背景とメリット・デメリット徹底解説

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「GraphQLって名前はよく聞くけれど、実際のところあまり流行っていないのでは?」──そんな疑問を持ったことはありませんか。GitHubやShopifyなど大手企業が採用している一方で、「結局RESTのほうが主流だよね」「運用コストが高い」「キャッシュが難しい」などネガティブな声も少なくありません。そのため「GraphQLは一時的なブームだったのでは?」という評価も目立ちます。

一方で、GraphQLは今も現役で活用され続けている技術です。では、なぜ「流行らない」と言われるのか、本当に使う価値がないのか──そこを冷静に整理する必要があります。

この記事では、GraphQLの基本から実際のメリット・デメリット、さらに代替技術との比較までを解説し、「導入すべきかどうか」を判断できる視点を提供します。フロントエンドエンジニアはもちろん、バックエンド担当者やプロダクトマネージャーの方にもわかりやすくまとめています。

この記事を読んでわかること

  • GraphQLの仕組みや歴史、RESTとの違い
  • 「流行らない」と言われる背景と、よくある誤解の真相
  • GraphQLが持つ具体的なメリットと、実運用で問題視されるデメリット
  • 実際に導入をやめた企業の事例とその理由
  • GraphQLが向いているプロジェクト、向いていないプロジェクトの特徴
  • REST、gRPC、tRPC、ODataなど代替技術の比較と使い分け方
  • 最新のAPIトレンドから見たGraphQLの将来性

「GraphQL 流行らない」と検索してたどり着いた方が、この記事を読み終える頃には「なぜそう言われるのか」「自分のプロジェクトには必要かどうか」を自信を持って判断できるようになるはずです。

GraphQLとは?仕組みと歴史

GraphQLの基本的な仕組み

GraphQLは、APIのためのクエリ言語および実行環境です。従来のREST APIが複数のエンドポイントを持つのに対し、GraphQLは単一のエンドポイントを通じてデータの取得や更新を行います。

最大の特徴は、クライアント側が必要なデータフィールドを自由に指定できることです。例えば、ユーザー情報を取得する際に「名前とメールアドレスだけ」「プロフィール画像も含める」など、リクエスト内容を柔軟にカスタマイズできます。

GraphQLの動作は以下の3つのコンポーネントで構成されます:

  • スキーマ:利用可能なデータの型と操作を定義
  • リゾルバ:実際のデータ取得ロジック
  • クエリ:クライアントが送信するデータ要求

この仕組みにより、Over-fetchingやUnder-fetchingの問題を解決し、ネットワーク効率を向上させることが可能です。

GraphQL | A query language for your API

具体的な使用例

GraphQLクエリの実例を見てみましょう。以下は、ユーザー情報と投稿データを同時に取得するクエリです:

{
  user(id: "123") {
    name
    email
    posts {
      title
      createdAt
      comments {
        author
        text
      }
    }
  }
}

このクエリを送信すると、指定した構造でJSONレスポンスが返されます。REST APIの場合、同じデータを取得するために「/users/123」「/users/123/posts」「/posts/{id}/comments」といった複数のリクエストが必要になる可能性があります。

実際の企業活用事例として、GitHubはAPI v4でGraphQLを採用し、開発者が必要な情報だけを効率的に取得できる環境を提供しています。また、ShopifyもストアフロントAPIでGraphQLを活用し、Eコマースサイトの高速化を実現しています。

GraphQL誕生の背景とRESTとの違い

GraphQLは2012年にMeta(旧Facebook)が開発し、2015年にオープンソース化された技術です。開発の背景には、モバイルアプリの普及により、限られた帯域幅で効率的にデータを取得する必要性が高まったことがありました。

REST APIとの主な違いは以下の通りです:

エンドポイント設計

  • REST:リソースごとに複数のエンドポイント(/users、/posts、/commentsなど)
  • GraphQL:単一エンドポイント(通常は/graphql)

データ取得方式

  • REST:サーバー側で定義された固定フォーマットでデータを返却
  • GraphQL:クライアント側で必要なフィールドを指定

バージョニング

  • REST:v1、v2といったバージョン管理が必要
  • GraphQL:スキーマの進化的な変更が可能で、バージョニングが不要

キャッシュ戦略

  • REST:HTTPキャッシュを活用しやすい
  • GraphQL:複雑なクエリのため、キャッシュ戦略が困難

GitHubやShopify、Pinterest、Airbnbなど多くの大手企業がGraphQLを採用していますが、一方でREST APIやgRPC、tRPCといった代替技術も活発に利用されており、技術選定においては慎重な検討が求められています。

GraphQLはなぜ「流行らない」と言われるのか?

REST API全盛の中で普及しにくかった背景

GraphQLは柔軟性の高い仕組みを持ちながらも、REST APIの普及速度と比べると「流行らない」と言われることがあります。最大の理由は、RESTがすでにデファクトスタンダードとなっていた点です。多くの企業や開発者がRESTに慣れており、豊富なライブラリやツールが揃っていたため、新たにGraphQLへ移行する強い動機が生まれにくかったのです。また、HTTPキャッシュやステータスコードといったWeb標準と親和性が高いRESTの利便性も、GraphQLの普及を妨げる要因となりました。

この背景には、REST APIが持つ以下の優位性があります:

学習コストの低さ

REST APIはHTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETE)という既存の概念を活用するため、多くの開発者にとって理解しやすい構造です。一方、GraphQLは新しいクエリ言語の習得が必要で、チーム全体の学習コストが高くなります。

既存インフラとの親和性

多くの企業では、REST API用のツールチェーンやモニタリング、キャッシュシステムが既に整備されています。これらの資産を活用できるRESTと比較して、GraphQLは新たなインフラ投資が必要になるケースが多いのです。

エコシステムの成熟度

REST APIには豊富なライブラリ、フレームワーク、開発ツールが存在します。Postman、Swagger/OpenAPIなどの標準的なツールは、REST APIの開発・テストを強力にサポートしています。

GraphQLが廃れたと言われる技術的・運用的な課題

GraphQLは「便利だが難しい」という評価を受けることが多く、導入後に課題が浮き彫りになるケースもあります。代表的な問題は以下の通りです。

N+1問題の複雑化

GraphQLの柔軟なクエリ機能は、意図しないN+1問題を引き起こしやすい特性があります。例えば、100人のユーザーリストを取得し、それぞれの投稿数を表示するクエリを書いた場合、データベースへのクエリが101回(1回のユーザー取得 + 100回の投稿数カウント)実行される可能性があります。この問題を解決するためには、DataLoaderパターンの実装が必要ですが、これは開発の複雑性を大幅に増加させます。

キャッシュ戦略の困難さ

REST APIではURLベースの単純なキャッシュが可能ですが、GraphQLでは動的なクエリのため、効果的なキャッシュ戦略の実装が困難です。Apollo Clientなどの専用ツールを使用する必要があり、学習コストと運用コストが増加します。

セキュリティ上の懸念

GraphQLの柔軟性は、悪意のあるクエリによるサービス拒否攻撃(DoS攻撃)のリスクを高めます。複雑なネストしたクエリや大量のデータを要求するクエリを制限するために、Query Depth AnalysisやQuery Cost Analysisの実装が必要になります。

デバッグとモニタリングの複雑さ

REST APIの場合、ログから「どのエンドポイントが何回呼ばれたか」を簡単に把握できますが、GraphQLでは各クエリが異なる構造を持つため、パフォーマンス分析や問題の特定が困難になります。

これらの課題が原因で「GraphQLを試したがやめた」という企業も存在します。そのため「GraphQLは一時のブームで廃れた」と見なされることがあるのです。

Meta(旧facebook)がGraphQL Foundationを脱退したという噂の真相

GraphQLに関する誤解のひとつに、「MetaがGraphQL Foundationを脱退した」という噂があります。しかしこれは事実ではありません。Metaは今もGraphQLの主要な貢献者のひとつであり、GraphQL Foundationの設立にも関与し続けています。

実際、GraphQLはCNCF(Cloud Native Computing Foundation)とは異なり、専用のGraphQL Foundationによってエコシステムが支えられています。Metaだけでなく、GitHubやShopifyといった企業も積極的に開発を支援しています。このように「GraphQLが見放された」という情報は誤りであり、現在も活発に開発と改善が続けられています。

この噂が生まれた背景には、以下の要因が考えられます

技術トレンドの多様化

Meta社内では、GraphQLと並行してREST API、gRPC、そして最近ではtRPCなど、用途に応じて複数のAPI技術を使い分けています。この多様化が「GraphQLから離れている」という誤解を生んでいる可能性があります。

他企業の技術選択の影響

一部の企業がGraphQLから他の技術に移行する事例が報告されることで、「GraphQL自体が廃れている」という印象が広がることがあります。しかし、これらは個別のプロジェクトの技術選択であり、GraphQL全体の動向を示すものではありません。

情報の断片化

ソーシャルメディアやテック系ブログでの部分的な情報が拡散される過程で、文脈が失われ、誤解が生じることがあります。

GraphQLのメリット・デメリット

RESTと比較したときの具体的なメリット(柔軟性・クエリ最適化など)

GraphQLがREST APIと比較して優れている点は、その柔軟性とクエリ最適化能力です。実際の開発現場で体感できる具体的なメリットを見ていきましょう。

データフェッチングの効率化 REST APIでは、フロントエンド画面に必要な情報を取得するために複数のAPIを呼び出す必要があることが多々あります。例えば、ユーザーのダッシュボード画面を表示する際、「/api/user」「/api/user/posts」「/api/user/followers」といった複数のリクエストが必要です。

GraphQLでは、これらを1回のクエリで取得できます:

{
  user(id: "123") {
    name
    email
    posts(limit: 5) {
      title
      createdAt
    }
    followers(limit: 10) {
      name
      avatar
    }
  }
}

この効率化により、JapanTaxiアプリ(現GO)では、リニューアル時にGraphQL導入によってAPIの呼び出し回数を大幅に削減することに成功しています。

Over-fetchingとUnder-fetchingの解消

REST APIでは、エンドポイントが返すデータ構造が固定されているため、必要以上のデータを取得してしまう(Over-fetching)か、不十分なデータしか取得できない(Under-fetching)問題が発生します。

GraphQLでは、クライアント側で必要なフィールドだけを指定できるため、モバイル環境での通信量削減やページ表示速度の向上が期待できます。

開発チーム間の効率的な連携

GraphQLのスキーマファーストなアプローチにより、フロントエンドとバックエンドの開発者が事前にデータ構造を合意できます。これにより、並行開発が円滑に進み、開発サイクルの短縮につながります。

型安全性の向上

GraphQLは強い型システムを持っており、TypeScriptと組み合わせることで、フロントエンドからバックエンドまで一貫した型安全性を確保できます。これにより、ランタイムエラーの削減と開発効率の向上が実現できます。

実運用で問題視されたデメリット(N+1問題・キャッシュ困難・セキュリティ懸念)

GraphQLのメリットと引き換えに、実際の運用では深刻なデメリットも存在します。これらの問題は、特に大規模なシステムで顕著に現れます。

N+1問題の深刻化

GraphQLの柔軟なクエリ機能は、意図しないN+1問題を引き起こしやすい特性があります。例えば、以下のようなクエリを実行した場合:

{
  posts {
    title
    author {
      name
    }
  }
}

このクエリは一見無害に見えますが、100件の投稿がある場合、データベースに対して101回のクエリ(1回の投稿取得 + 100回の作者情報取得)が実行される可能性があります。

この問題を解決するためには、DataLoaderパターンの実装やクエリの最適化が必要ですが、これらは開発コストと複雑性を大幅に増加させます。

キャッシュ戦略の複雑さ

REST APIでは、URLベースの単純なHTTPキャッシュが利用できますが、GraphQLでは動的なクエリ構造のため、効果的なキャッシュ実装が困難です。

  • CDNキャッシュ:GraphQLは通常POSTリクエストを使用するため、CDNでのキャッシュが困難
  • アプリケーションレベルキャッシュ:クエリの構造が動的なため、キャッシュキーの設計が複雑
  • クライアントサイドキャッシュ:Apollo ClientやUrqlなどの専用ツールが必要

セキュリティリスクの増大

GraphQLの柔軟性は、セキュリティ上のリスクも生み出します:

  • Query Depth Attack:深くネストしたクエリによるサーバーリソースの枯渇
  • Query Complexity Attack:計算量の多いクエリによる性能劣化
  • Introspection Attack:本番環境でのスキーマ情報漏洩リスク

これらを防ぐためには、Query Depth Analysis、Query Cost Analysis、Rate Limitingなどの実装が必要で、セキュリティ対策のコストが増加します。

デバッグとモニタリングの困難さ

REST APIでは、アクセスログから「どのエンドポイントが何回呼ばれたか」を容易に把握できますが、GraphQLでは各クエリが異なる構造を持つため、以下の課題があります:

  • パフォーマンス問題の特定が困難
  • ボトルネックの原因分析に時間がかかる
  • 専用のAPM(Application Performance Monitoring)ツールが必要

実際にGraphQLをやめた企業の事例と撤退理由

一部の企業では、GraphQLを導入したものの「運用コストが高い」「RESTやgRPCで十分だった」として撤退するケースも報告されています。

例えば、あるスタートアップ企業ではフロントエンド主導でGraphQLを導入したものの、バックエンドチームが複雑なスキーマ管理やN+1問題への対策に追われ、開発速度が低下しました。その結果、従来のREST APIに戻したという事例があります。また、マイクロサービス間通信にはgRPCやtRPCの方が効率的だったため、GraphQLを内部APIからは排除する判断をした企業もあります。

このようにGraphQLは「使いどころを誤ると逆効果」になるため、メリットとデメリットを正しく理解した上で技術選定を行うことが重要です。

あなたのプロジェクトにGraphQLは必要?技術選定の判断軸

GraphQLが向いているケース・向いていないケース

GraphQLの技術選定において最も重要なのは、プロジェクトの特性と要件を正確に把握することです。以下の判断軸を参考に、GraphQLの適用を検討してみましょう。

GraphQLが向いているケース

モバイルアプリや帯域幅が限られる環境

モバイルアプリでは、通信量の最適化が極めて重要です。GraphQLのクエリ指定機能により、画面に必要なデータだけを効率的に取得できます。例えば、インスタグラム風のアプリでは、タイムライン画面で「画像URL、いいね数、コメント数のみ」、詳細画面で「全ての情報」といった使い分けが可能です。

フロントエンドの種類が多い場合

Webアプリケーション、iOS/Androidアプリ、管理画面など、複数のフロントエンドが同じバックエンドにアクセスする場合、GraphQLの柔軟性が威力を発揮します。それぞれの画面要件に応じて必要なデータのみを取得でき、Over-fetchingによるパフォーマンス劣化を防げます。

チーム間の連携が重要なプロジェクト

大規模なプロダクト開発では、フロントエンドとバックエンドのチーム間での仕様調整が頻繁に発生します。GraphQLのスキーマファーストなアプローチにより、事前にデータ構造を合意でき、並行開発が円滑に進みます。

リアルタイム性が求められるアプリケーション

GraphQLのSubscription機能を活用することで、チャットアプリやライブ配信、コラボレーションツールなどでのリアルタイム通信を効率的に実装できます。

GraphQLが向いていないケース

シンプルなCRUDアプリケーション

基本的な作成・読み取り・更新・削除操作が中心のアプリケーションでは、GraphQLの複雑さはオーバーエンジニアリングになりがちです。REST APIの方がシンプルで開発効率が高くなります。

高パフォーマンスが求められるシステム

金融取引システムやリアルタイムゲームなど、レイテンシが極めて重要なシステムでは、GraphQLのオーバーヘッドが問題になる場合があります。このような場合は、gRPCなどの高性能プロトコルが適しています。

レガシーシステムとの連携が多い場合

既存のREST APIやSOAPサービスとの連携が中心のシステムでは、GraphQLレイヤーを追加することでかえって複雑性が増加します。既存のAPIをそのまま活用する方が効率的です。

小規模チーム・短期間プロジェクト

GraphQLは学習コストが高く、適切な運用体制の構築に時間がかかります。小規模チームや短期間で完了予定のプロジェクトでは、REST APIの方が現実的な選択です。

GraphQLの代替技術一覧とそれぞれのメリット・デメリット

API技術の選択肢は多様化しており、それぞれに特徴があります。プロジェクトの要件に最適な技術を選択することが重要です。

REST API:最も標準的で成熟したAPI技術です。

メリット

  • 学習コストが低く、エンジニアの採用が容易
  • 豊富なツールとライブラリのサポート
  • HTTPキャッシュを活用しやすい
  • デバッグとモニタリングが簡単

デメリット

  • Over-fetchingやUnder-fetchingが発生しやすい
  • 複数リクエストが必要な場合がある
  • バージョニング管理が複雑

適用ケース

  • 標準的なWebアプリケーション
  • 外部向けのパブリックAPI
  • レガシーシステムとの親和性が重要な場合

gRPC:Googleが開発した高性能なRPCフレームワークです。

メリット

  • Protocol Buffersによる効率的なシリアライゼーション
  • HTTP/2ベースの高性能通信
  • 強い型安全性とコード生成
  • ストリーミングサポート

デメリット

  • ブラウザからの直接呼び出しが困難
  • デバッグツールが限定的
  • 学習コストが高い

適用ケース

  • マイクロサービス間の内部通信
  • 高パフォーマンスが要求されるシステム
  • リアルタイムデータストリーミング

tRPC:TypeScript-first API framework that allows you to define your API using TypeScript typesとして注目されている技術です。

メリット

  • TypeScriptによるend-to-endの型安全性
  • 自動的なコード生成とクライアント作成
  • REST APIよりもシンプルな実装
  • 優れた開発者体験(DX)

デメリット

  • TypeScript環境に限定される
  • まだ新しい技術で事例が少ない
  • 大規模システムでの実績が不足

適用ケース

  • TypeScript/Node.jsのフルスタック開発
  • 小〜中規模のWebアプリケーション
  • 型安全性を重視するプロジェクト

WebSocket / Server-Sent Events (SSE): リアルタイム通信に特化した技術です。

メリット

  • 真のリアルタイム双方向通信
  • 低レイテンシでの大量データ送信が可能
  • プッシュ通知やライブアップデートに最適

デメリット

  • 接続管理の複雑さ
  • スケーラビリティの課題
  • 従来のHTTPキャッシュが使用不可

適用ケース

  • チャットアプリケーション
  • リアルタイムダッシュボード
  • オンラインゲーム

最新のAPIトレンドから考えるGraphQLの将来性

現在のAPIトレンドを見ると、GraphQLは完全に廃れたわけではなく、特定の領域で安定した利用が続いています。特にフロントエンド重視のサービスや、複雑なデータを扱う大規模なBtoCプラットフォームでは引き続き採用されています。一方で、マイクロサービス間通信やリアルタイム性が重視される領域ではgRPCやtRPCが注目を集めています。

つまり、GraphQLは「RESTやgRPCを置き換える存在」ではなく「使いどころを見極めるべき選択肢」の一つです。今後もGitHubやShopifyのような企業が採用を続ける限り、GraphQLはAPI設計の重要な選択肢として残り続けるでしょう。

よくある質問(FAQ)

GraphQLは本当に「流行らない」のでしょうか?

「流行らない」というよりは「RESTのような圧倒的スタンダードにはならなかった」というのが正確です。GraphQLはGitHubやShopifyなど大手サービスで安定して使われ続けており、特定のユースケースでは今も強力な選択肢です。

REST APIからGraphQLに移行する価値はありますか?

プロジェクトによります。複数のクライアント向けに異なるデータを最適化して提供する場合や、通信量削減が重要なモバイルアプリでは価値があります。ただし単純なCRUD APIならRESTで十分です。

GraphQLはキャッシュが難しいと聞きましたが解決策はありますか?

標準的なHTTPキャッシュは効きにくいですが、Apollo ClientやRelayといった専用のキャッシュ機構を利用することで、効率的にクライアントサイドのキャッシュ戦略を設計できます。

セキュリティ的に危険ではないですか?

自由度が高いため、無制限にクエリを投げられるとDoS攻撃のリスクがあります。実運用ではクエリの深さ制限、レート制限、コスト分析などの仕組みを導入することで対策可能です。

GraphQLの代替技術としては何がありますか?

REST API、gRPC、tRPC、ODataなどが代替候補です。RESTはシンプルで普及率が高く、gRPCは高速通信、tRPCはTypeScriptと強力に連携、ODataは柔軟なクエリを提供します。用途に応じて選択するのがベストです。

GraphQLは将来的に廃れる可能性はありますか?

廃れるというより、今後も「特定のユースケースに強い技術」として生き残る可能性が高いです。最新のAPIトレンドでも、GraphQLはRESTやgRPCと並ぶ選択肢として扱われ続けています。

まとめ

GraphQLは「RESTに代わる万能なAPI」ではなく、「適切な場面で力を発揮する強力な選択肢」という位置づけがもっとも現実的です。流行らないと言われる背景には、REST APIの圧倒的な普及や、GraphQL特有の運用コストの高さがあります。しかし一方で、GitHubやShopifyのように今も第一線で活用している企業が存在するのも事実です。

特に、複雑なデータを扱うBtoCサービスや、モバイルアプリ・SPAなど通信効率が重視される場面では、GraphQLの柔軟性は大きなメリットになります。ただし、キャッシュやセキュリティ設計に課題があり、すべてのプロジェクトにフィットするわけではありません。そのため、導入を検討する際は「RESTやgRPC、tRPCなどの代替技術との比較」を欠かさず行うことが大切です。

重要ポイント

  • GraphQLはRESTに取って代わる標準ではなく、特定領域で強みを発揮する技術
  • 「流行らない」と言われる背景には、RESTの普及とGraphQLの学習コストや運用課題がある
  • GitHubやShopifyのように成功事例も多く、今も実用的に利用されている
  • 向いているのは「複数クライアントへの柔軟なデータ提供」「通信効率が求められるプロジェクト」
  • 向いていないのは「単純なCRUD API」や「キャッシュ最優先のシステム」
  • REST、gRPC、tRPC、ODataなど代替技術との比較検討が不可欠

最終的には、「自分たちのプロジェクトがどんな課題を抱えていて、どの技術がその解決に最適なのか」を冷静に判断することが重要です。GraphQLを盲目的に避ける必要もなければ、流行に乗って無条件に導入する必要もありません。技術選定はあくまで手段であり、プロダクトやユーザー価値を最大化することがゴールだという視点を忘れずに判断しましょう。

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