1. はじめに
「WordPressのサイトを運営しているけれど、セキュリティが不安…」
「脆弱性ってよく聞くけど、実際にどんな危険があるの?」
「対策をすれば安全に使えるのか知りたい!」
このような悩みをお持ちではありませんか?
WordPressは世界で最も利用されているCMSですが、その人気の高さゆえに攻撃者の標的にもなりやすいのが現実です。実際、脆弱性を狙ったハッキングやマルウェア感染、サイトの乗っ取りといった被害は後を絶ちません。しかし、適切な対策を講じることで、WordPressサイトを安全に運用することは十分可能です。
本記事では、WordPressの脆弱性が発生する理由や具体的なリスクを解説し、初心者でも実践できるセキュリティ対策を詳しく紹介します。何が危険で、どのような対策をすればよいのかを説明します。
この記事を読むことで、次のようなメリットが得られます。
- WordPressの脆弱性の原因とリスクが明確にわかる
- 今すぐできるセキュリティ対策を知り、安全なサイト運営ができる
- サイトの乗っ取りやデータ漏洩などのリスクを最小限に抑えられる
「何から手をつければいいのかわからない…」という方でも大丈夫です。本記事の内容を実践すれば、WordPressをより安全に運用できるようになります。
2. WordPressの主な脆弱性
WordPressはオープンソースのCMSであり、誰でも自由に利用・カスタマイズできる点が魅力です。しかし、その一方で、脆弱性が発見されると、世界中のハッカーから攻撃の標的になりやすいというリスクも抱えています。WordPressの脆弱性は、主に以下の3つに分類されます。
2-1. WordPress本体の脆弱性
WordPress本体は定期的にアップデートが行われ、セキュリティパッチが適用されています。しかし、アップデートを怠ると、既知の脆弱性がそのまま残り、攻撃者に狙われやすくなります。
主な脆弱性の例
- SQLインジェクション
- 不正なSQLクエリを実行させ、データベース内の情報を盗み出したり、改ざんしたりする攻撃。
- クロスサイトスクリプティング(XSS)
- 悪意のあるスクリプトを仕込んで、訪問者のブラウザ上で不正な動作をさせる攻撃。
- クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)
- ユーザーが意図しない操作を実行させる攻撃。例えば、管理者権限での変更を強制的に行わせる。
対策としては、常に最新のWordPressバージョンへ更新することが最も重要です。また、不審なアクティビティを検知するために、セキュリティプラグインを導入するのも有効な手段となります。
2-2. テーマやプラグインに関する脆弱性
WordPressの強みの一つは、豊富なテーマやプラグインを利用できる点です。しかし、公式ディレクトリ以外のプラグインや、更新が止まったテーマを使用すると、脆弱性を抱えたままの状態になる可能性があります。
主なリスク
- 更新が止まったプラグインの脆弱性
- 開発者のサポートが終了し、脆弱性が放置されたままのプラグインを利用すると、攻撃の標的になりやすい。
- 悪意のあるプラグイン・テーマの存在
- 非公式のマーケットプレイスからダウンロードしたテーマやプラグインには、マルウェアが仕込まれている可能性がある。
- PHPコードの脆弱性
- プラグインやテーマのコードにセキュリティ上の欠陥があると、不正アクセスやデータ流出の原因になる。
対策
- テーマ・プラグインは公式ディレクトリから入手する
- 使用していないプラグイン・テーマは削除する
- 定期的に更新を行い、最新バージョンを保つ
2-3. REST APIの脆弱性
WordPressは、外部アプリケーションと連携しやすくするためにREST APIを導入しています。しかし、この機能が悪用されると、サイトの情報が外部から取得されたり、不正なデータ変更を許してしまうリスクがあります。
過去の事例
2017年には、REST APIの脆弱性を突かれ、多くのWordPressサイトが改ざんされる被害が発生しました。この攻撃では、権限チェックの不備を利用し、認証なしで記事の内容を書き換えることができる状態になっていました。
対策
- REST APIを利用しない場合は無効化する(プラグイン「Disable REST API」などを使用)
- 認証機能を強化する(APIアクセスにはトークン認証やIP制限を導入)
- WordPressのアップデートを徹底する
3. なぜWordPressが攻撃者から狙われるのか?
WordPressは世界中のウェブサイトの約43%で使用されているとされ、そのシェアの大きさからサイバー攻撃者にとって魅力的な標的となっています。ここでは、WordPressが攻撃の対象になりやすい理由と、その背景について詳しく解説します。
3-1. WordPressの世界における現状
WordPressは個人ブログから企業サイト、ECサイト、ニュースメディアまで、幅広い用途で利用されています。その人気の背景には、以下のような要因があります。
- 無料で利用可能
- オープンソースで誰でも自由にインストール・カスタマイズが可能。
- 豊富なプラグインとテーマ
- 機能拡張が容易で、初心者でも簡単にウェブサイトを作成できる。
- 定期的なアップデート
- 開発コミュニティが活発で、新機能の追加やセキュリティ修正が頻繁に行われる。
しかし、この広範な普及と利便性の高さが、攻撃者にとっての魅力ともなっています。WordPressを標的にすることで、多くのサイトを一度に攻撃できるためです。
3-2. WordPressの脆弱性が狙われる理由
WordPressが攻撃対象になりやすいのには、以下のような理由があります。
- 利用者が多いため、攻撃の成功率が高い
- 世界中で数千万ものサイトがWordPressを使用しており、脆弱性を持つサイトも多く存在するため、一つの攻撃手法で多くのサイトに影響を与えられる。
- 古いバージョンの利用者が多い
- WordPressは頻繁にアップデートが行われているが、利用者の中には古いバージョンのまま放置しているケースがあり、既知の脆弱性を突いた攻撃が成功しやすい。
- プラグインやテーマの管理が甘い
- サードパーティ製のプラグインやテーマが多く提供されているが、中には更新が止まっているものや、セキュリティ対策が不十分なものも存在する。これらを悪用されるケースが増えている。
- オープンソースであるがゆえにコードが解析されやすい
- WordPressのソースコードは公開されているため、攻撃者が脆弱性を発見しやすい。特に、コアファイルのセキュリティホールが見つかると、多くのサイトが一斉に危険にさらされる。
- 管理画面への攻撃が容易
- 「wp-admin」や「wp-login.php」といった標準の管理画面URLが決まっているため、ブルートフォースアタック(総当たり攻撃)を仕掛けやすい。
3-3. WordPressの脆弱性を突いた過去の有名な攻撃事例
WordPressを狙ったサイバー攻撃の事例は数多く存在します。ここでは、その中でも特に大きな影響を与えた事例を紹介します。
- 2017年 REST API脆弱性を利用した大規模改ざん
- REST APIの認証バグを利用し、数万件のWordPressサイトの記事が不正に改ざんされる事件が発生。公式アップデートで修正されたが、更新を怠っていたサイトが大きな被害を受けた。
- 2020年 File Managerプラグインのゼロデイ攻撃
- 人気プラグイン「File Manager」に深刻な脆弱性が見つかり、攻撃者がサイトのファイルを不正に操作できる状態になっていた。この脆弱性を悪用した攻撃は、数十万件以上のサイトで確認された。
- 2022年 Elementor Proの脆弱性を突いた攻撃
- 人気のページビルダープラグイン「Elementor Pro」に脆弱性が発見され、権限昇格攻撃(権限を管理者レベルに変更する攻撃)が行われた。攻撃者はこの脆弱性を利用し、サイトの完全な制御を奪うことが可能だった。
これらの事例からも分かるように、WordPressは常に攻撃のリスクに晒されています。特に、プラグインやテーマの脆弱性を狙った攻撃は後を絶ちません。
4. WordPressの脆弱性を確認する方法
WordPressのセキュリティを強化するためには、まず自分のサイトがどのような脆弱性を抱えているのかを把握することが重要です。脆弱性を特定し、適切な対応を取ることで、不正アクセスやデータ漏洩といったリスクを最小限に抑えることができます。本章では、WordPressの脆弱性を確認するための方法を紹介します。
4-1. 脆弱性情報をチェックする方法
まず、WordPressに関する脆弱性情報を定期的にチェックすることが重要です。以下のような情報源を活用することで、最新の脆弱性を把握し、適切な対策を取ることができます。
- WordPress公式サイトのセキュリティページ
- WordPress Securityでは、公式のセキュリティに関する情報が提供されています。
- CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)データベース
- CVE Detailsなどの脆弱性データベースを利用すると、WordPress本体やプラグインの既知の脆弱性を検索できます。
- WPScan Vulnerability Database
- WPScanは、WordPressの脆弱性情報を集めたデータベースで、日々更新されています。
- プラグイン・テーマの更新履歴を確認
- プラグインやテーマの更新履歴を公式リポジトリで確認し、「セキュリティ修正」や「脆弱性対応」などの記載がある場合は、早急にアップデートする必要があります。
これらの情報源を定期的にチェックし、最新のセキュリティ対策を行うことが推奨されます。
4-2. WordPress側で出来る方法
WordPress自体にも、サイトの脆弱性を確認するための機能やツールが備わっています。
- サイトヘルス機能を活用する
- WordPressの管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」では、基本的なセキュリティ診断が行えます。
- PHPのバージョン、プラグインの更新状況、推奨されるセキュリティ設定などを確認できる。
- セキュリティプラグインを導入する
- WordPressには、脆弱性をチェックするためのセキュリティプラグインが多数存在します。例えば:
- Wordfence Security: ファイアウォール・マルウェアスキャン機能が搭載されている。
- iThemes Security: 既知の脆弱性スキャンや不正ログイン対策が可能。
- SiteGuard WP Plugin: 日本製のセキュリティプラグインで、管理画面のアクセス制限などができる。
- WordPressには、脆弱性をチェックするためのセキュリティプラグインが多数存在します。例えば:
- デバッグモードを活用する
wp-config.php
のWP_DEBUG
をtrue
に設定し、エラーログをチェックすることで、潜在的な問題を発見できる。
4-3. 外部サービスを利用する方法
外部のセキュリティ診断ツールを活用することで、より詳細な脆弱性チェックが可能になります。以下のような無料・有料のサービスを活用すると効果的です。
- Sucuri SiteCheck
- Sucuriは、Webサイトのマルウェアスキャンやブラックリストチェックを行える無料ツール。
- WordPressサイトの既知の脆弱性もスキャン可能。
- Pentest-Tools.com
- WordPressのセキュリティ診断を行えるペネトレーションテスト(脆弱性診断)ツール。
- サイトのURLを入力するだけで、基本的な脆弱性スキャンが可能。
- WPScan
- WPScanは、WordPress専用の脆弱性スキャナーで、既知の脆弱性や設定ミスを検出可能。
- 有料版では、より高度な診断機能が利用できる。
- WPSEC
WordPressの脆弱性を放置してしまうと、サイトが攻撃者に狙われ、データ漏洩や改ざんといった被害を受ける可能性があります。そのため、定期的に脆弱性情報をチェックし、サイトヘルス機能や外部の診断ツールを活用して、適切なセキュリティ対策を実施することが重要です。
5. 今すぐできるWordPressのセキュリティ対策
WordPressの脆弱性を確認したら、次に重要なのが適切なセキュリティ対策を講じることです。脆弱性を放置すると、不正アクセスやマルウェア感染のリスクが高まり、最悪の場合はサイトが乗っ取られてしまうこともあります。ここでは、WordPressのセキュリティを強化するために今すぐ実施できる対策を、WordPress側・WEBサーバー側・ヒューマンエラー対策の3つの視点から解説します。
5-1. WordPress側での対策
① WordPress本体・プラグイン・テーマを最新バージョンに更新する
- WordPress本体・テーマ・プラグインの脆弱性は、新しいバージョンで修正されることが多いです。
- 自動更新を有効にすることで、更新のし忘れを防げます。
- 本体の自動更新:
wp-config.php
に以下を追加define('WP_AUTO_UPDATE_CORE', true);
- プラグイン・テーマの自動更新: WordPress管理画面の「プラグイン」→「インストール済みプラグイン」で個別に設定可能。
- 本体の自動更新:
② セキュリティプラグインを導入する
セキュリティプラグインを活用することで、総合的な防御が可能です。おすすめのプラグインは以下の通りです。
- Wordfence Security: ファイアウォールとマルウェアスキャン機能を備えた強力なプラグイン。
- iThemes Security: ログイン試行回数の制限やデータベースのセキュリティ強化が可能。
- SiteGuard WP Plugin: 日本製のプラグインで、ログインページのURL変更・画像認証などが簡単に設定可能。
③ ログインURLの変更
- WordPressのログインページ (
wp-login.php
) は攻撃者に狙われやすいため、カスタマイズすることでセキュリティを向上できます。 - SiteGuard WP Plugin を使用すれば、簡単にログインURLを変更可能。
④ ユーザー名「admin」を使用しない
- デフォルトの「admin」というユーザー名は攻撃の標的になりやすいため、別の名前に変更する。
- 新しい管理者アカウントを作成し、既存の「admin」は削除する。
⑤ 強力なパスワードを設定する
- 簡単なパスワード(例: “password123″)は避ける。
- パスワードマネージャー(1Password、Bitwardenなど)を活用する。
⑥ 二段階認証(2FA)を導入する
- Google Authenticator などの2FAアプリを使用すると、不正ログインのリスクを大幅に下げられる。
- WordfenceやiThemes Securityなどのプラグインを使用すれば簡単に設定可能。
⑦ REST APIやXML-RPCの無効化
- REST APIやXML-RPCを悪用した攻撃が増えているため、不要なら無効化する。
functions.php
に以下を追加するとREST APIを無効化できる。
add_filter('rest_authentication_errors', function($result) {
if (!is_user_logged_in()) {
return new WP_Error('rest_cannot_access', __('REST API restricted.'), array('status' => 401));
}
return $result;
});
5-2. WEBサーバー側での対策
① SSL/TLS(HTTPS)を有効にする
- 通信を暗号化し、データの盗聴や改ざんを防ぐ。
- SSL証明書を提供する。
② .htaccessを使ったセキュリティ強化
.htaccess
を適切に設定することで、攻撃のリスクを軽減できる。
ログインページへのアクセス制限 <Files wp-login.php> order deny,allow deny from all allow from 123.45.67.89 </Files>
<Files wp-login.php>
order deny,allow
deny from all
allow from 123.45.67.89
</Files>
上記はIPアドレス 123.45.67.89
のみ wp-login.php
へのアクセスを許可する設定。
③ サーバーのソフトウェアを最新にする
- PHP、MySQL、Apache/Nginxのバージョンを最新に保つことで、脆弱性を悪用されるリスクを減らせる。
- PHPのバージョンはWordPress管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」から確認可能。
5-3. ヒューマンエラーへの対策
① 定期的なバックアップを行う
- バックアップを取ることで、万が一の攻撃時にも復旧が可能。
- おすすめのバックアッププラグイン
- UpdraftPlus: クラウド保存(Google Drive、Dropbox)が可能。
- BackWPup: データベースとファイルをまとめてバックアップ可能。
② 不要なプラグイン・テーマを削除
- 使っていないプラグインやテーマは削除することで、攻撃のリスクを減らせる。
③ ユーザー権限の適切な管理
- 管理者権限をむやみに与えない。
- 投稿者や編集者の権限で十分な場合、管理者権限を与えないようにする。
④ 怪しいメールやリンクに注意する
- フィッシング詐欺対策として、管理者ユーザーへのメールには慎重に対応する。
WordPressのセキュリティ対策は、サイト管理者がすぐに実施できるものから、サーバー設定の変更が必要なものまで多岐にわたります。特に以下の対策は、すぐにでも行うべき重要なポイントです。
- WordPress・プラグイン・テーマを最新に保つ
- SiteGuard WP Pluginなどのセキュリティプラグインを導入する
- ログインURLの変更や2段階認証を設定する
- .htaccessを利用して不正アクセスを防ぐ
- 定期的なバックアップを取る
WordPressのセキュリティ対策をしっかりと実施することで、攻撃を受けるリスクを大幅に軽減できます。
6. WordPressが攻撃を受けた場合の対処法
万全のセキュリティ対策を講じていても、攻撃を100%防ぐことは不可能です。万が一、サイトが不正アクセスを受けたり、マルウェアに感染した場合には、迅速な対応が求められます。本章では、攻撃を受けた際に行うべき対処法と、再発防止のための具体的な手順を解説します。
6-1. 早急に対応すべきポイント
① まずはサイトを非公開にする
攻撃を受けていると判断した場合、被害の拡大を防ぐために一時的にサイトの非公開を検討しましょう。
- サーバーの .htaccess ファイルを編集し、一時的にメンテナンスモードに設定。
- サーバー管理画面(cPanelやPleskなど)からサイトを停止する。
- WordPressの「メンテナンスモード」プラグインを利用する。
② 影響範囲を特定する
攻撃がどの範囲まで影響しているのかを確認します。以下のポイントをチェックしてください。
- 管理画面にログインできるか? → ログインできない場合は、管理者アカウントが乗っ取られている可能性がある。
- サイトの表示に異常はないか? → 見覚えのないポップアップやリダイレクトが発生していないかチェック。
- 不審なユーザーやファイルはないか?
- WordPress管理画面の「ユーザー」タブを開き、不審なユーザーが追加されていないか確認。
- サーバーのファイルをチェックし、見慣れないファイルがないか調査。
③ セキュリティプラグインでマルウェアスキャンを実施
以下のプラグインを利用し、サイト全体のスキャンを行います。
- Wordfence Security: 高度なファイアウォールとマルウェアスキャン機能を提供。
- iThemes Security: ログイン履歴や不審なファイルを特定可能。
- MalCare Security: マルウェアを自動検出し、ワンクリックで削除。
④ 直近のバックアップから復旧する
- 定期的にバックアップを取っている場合、攻撃を受ける直前の状態に戻すことで、被害を最小限に抑えられます。
- UpdraftPlus や BackWPup などのプラグインを使用して復旧。
- サーバーの管理画面から、バックアップデータをリストアする方法もあります。
⑤ 管理者パスワードを変更する
- WordPressのすべてのユーザー(特に管理者)のパスワードを変更。
- サーバーの FTPアカウントやデータベースのパスワード も変更する。
- 可能なら、2段階認証(2FA)を有効にする。
⑥ サーバーのログを確認し、不正アクセスの痕跡を特定
error_log
やaccess_log
を確認し、不審なIPアドレスや異常なアクセスパターンを特定。- ログイン試行回数が異常に多い場合は、ブルートフォース攻撃を受けている可能性あり。
⑦ Googleにサイトの再評価を依頼する
- 攻撃によりサイトがマルウェアに感染し、Googleの検索結果で「このサイトは危険です」と表示される場合があります。
- Google Search Console の「セキュリティと手動による対策」から、問題解決後に再審査を依頼。
6-2. 攻撃を受けた後の再発防止策
一度攻撃を受けたサイトは、再び狙われる可能性が高いため、再発防止策を徹底しましょう。
① 脆弱性の修正
- テーマやプラグインを最新版に更新。
- 公式のWordPressリポジトリにない 怪しいプラグイン・テーマは削除。
- 不要なテーマ・プラグインをアンインストール。
② WAF(Web Application Firewall)の導入
- Cloudflare や Sucuri のWAFを導入することで、不正アクセスをブロック。
- WordPress向けの SiteGuard WP Plugin もWAF機能を備えている。
③ ログインページのアクセス制限
.htaccess
を利用し、特定のIPアドレスのみログインを許可。<Files wp-login.php> order deny,allow deny from all allow from 123.45.67.89 </Files>
- ログイン試行回数を制限(iThemes Securityなどのプラグインを活用)。
④ サーバーのセキュリティ強化
- PHPやMySQLのバージョンを最新に保つ。
- サーバーの ファイアウォールを設定 し、不審なアクセスを遮断。
⑤ 定期的なバックアップの設定
- バックアップの頻度を増やす(毎日~週1回のバックアップを推奨)。
- バックアップデータはローカルとクラウドの両方に保存。
⑥ WordPressのセキュリティ監視を継続
- ログ監視ツールを導入し、不審なアクティビティをリアルタイムで検出。
- WordPressの「ログイン履歴」や「変更履歴」を定期的に確認。
攻撃を受けた際は、 まずサイトを一時停止し、被害の拡大を防ぐことが最優先 です。その後、
- サイトのスキャンと影響範囲の特定
- バックアップから復元 & パスワード変更
- 不正アクセスの原因調査 & 再発防止策の実施
を行うことで、被害を最小限に抑えられます。
WordPressは攻撃対象になりやすいため、 日常的なセキュリティ対策が何より重要 です。
7. まとめ
WordPressの脆弱性について詳しく解説してきましたが、「それならWordPressは使わない方がよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。本章では、その疑問に対する答えと、安全にWordPressを運用するためのポイントをまとめます。
7-1. WordPressは使わない方がよい?
結論から言えば、 適切なセキュリティ対策を講じれば、WordPressは安全に利用できる ため、無理に避ける必要はありません。ただし、以下の点を理解しておくことが重要です。
WordPressは攻撃対象になりやすい
- 世界のWebサイトの 約43% がWordPressで作られている(2024年時点)。
- 利用者が多いため、攻撃者にとって「狙う価値がある」プラットフォームになっている。
- しかし、これは 人気のあるCMSすべてに当てはまる話 であり、WordPressだけが危険というわけではない。
セキュリティ対策を怠るとリスクが高まる
- WordPress自体の脆弱性は迅速に修正されるが、 古いバージョンを使い続けると危険。
- 無料テーマ・プラグインの中には安全性が低いものもある(特に非公式サイトからのダウンロードは要注意)。
- 初期設定のままだと ログインページが無防備 で、ブルートフォース攻撃を受けやすい。
他のCMSやノーコードツールも脆弱性はある
- WordPress以外にも Joomla、Drupal、Wix、Shopifyなど さまざまなCMSがあるが、どれも完璧に安全ではない。
- SaaS型のWebサイト構築ツール(WixやShopifyなど)は、セキュリティ管理をサービス提供側が担うため、比較的安全だが カスタマイズ性に制限がある。
WordPressは 自由度が高く、SEOに強いCMS であり、多くの企業サイトや個人ブログで利用されています。リスクを理解し、適切なセキュリティ対策を実施すれば、問題なく運用可能です。
7-2. 安全なサイト運営のポイント
WordPressを安全に運用するために、 最低限、以下のポイントは押さえておきましょう。
WordPress・テーマ・プラグインを常に最新の状態に保つ
- 自動更新を有効にするか、定期的に手動でアップデートする。
- 使っていないテーマやプラグインは削除する。
強力なパスワードと2段階認証を設定
- 「admin」などの安易なユーザー名を使わない。
- 2段階認証(Google Authenticatorなど)を導入する。
ログインページのセキュリティを強化
/wp-admin
へのアクセスを制限(IP制限・CAPTCHAの導入など)。- ログイン試行回数を制限する(SiteGuard WP Plugin や Limit Login Attempts Reloaded などを活用)。
WAF(Web Application Firewall)を導入
- CloudflareやSucuriを使って、不正アクセスをブロックする。
定期的なバックアップを取る
- 自動バックアップの設定を行い、 サーバー外(クラウドストレージなど)に保存 しておく。
サイトの監視と定期的なスキャンを実施
- WordfenceやiThemes Securityを使い、 リアルタイムで不審なアクティビティを監視 する。
- マルウェアスキャンを定期的に実施し、問題がないか確認。
WordPressの脆弱性に関するQ&A(サイト制作者向け)
Q1. 最低限するべきセキュリティ対策は?
A. 以下の5つは最低限やっておきましょう!
- WordPress・テーマ・プラグインを最新に保つ
- セキュリティの更新は頻繁に行われるため、常に最新の状態にアップデートする。
- 使っていないプラグインやテーマは削除する。
- 強力なパスワード+2段階認証を設定
- 「admin」などの分かりやすいユーザー名を避け、英数字+記号を含む強固なパスワードを使用する。
- Google Authenticatorなどを使った2段階認証を導入する。
- ログインページの保護(アクセス制限)
/wp-admin
や/wp-login.php
へのアクセスを制限(IP制限やreCAPTCHAの導入)。- ログイン試行回数を制限するプラグイン(SiteGuard WP Plugin など)を利用。
- WAF(Web Application Firewall)を導入
- サーバー側のWAF(例:ConoHa WINGやXserverのWAF)を有効化。
- CloudflareやSucuriなどの外部サービスを活用して不正アクセスをブロック。
- 定期的なバックアップを取る
- 事故や攻撃に備えて、定期的にバックアップを取得(UpdraftPlusなどのプラグインが便利)。
- サーバーとは別の場所(Google DriveやDropboxなど)にバックアップを保存。
Q2. テーマは有料のものを使ったほうが安全なの?
A. 有料テーマだからといって100%安全とは限りません!
有料テーマのメリット:
- 一定の品質が保証されている(無料テーマより安全なことが多い)
- セキュリティアップデートが継続的に提供される
- 信頼できる開発者がサポートしてくれる
注意すべきポイント:
◇公式マーケットプレイスから購入することが重要
- 信頼できる販売元(ThemeForest、StudioPress、公式のWordPressテーマディレクトリなど)から購入する。
- 無料配布されている「改変版」にはマルウェアが仕込まれている可能性があるため、絶対に使わないこと!
◇更新頻度をチェックする
- 最終更新が 1年以上前 だと、脆弱性が放置されている可能性あり。
- 購入前に開発者のサポート状況を確認するのも重要。
◇過剰な機能を持つテーマは注意
- 多機能なテーマは便利だが、不要な機能が多いと攻撃対象が増えるリスク もある。
- シンプルで必要な機能だけを持つテーマを選ぶと安全性が高い。
結論: 「有料だから安心」とは限らず、信頼できる販売元&適切な管理が必須!
Q3. 他のCMSは安全なの?
A. どのCMSも完璧に安全とは言えませんが、WordPressは特に狙われやすいです。
🔍 他のCMS(Joomla、Drupal、Wix、Shopify など)の特徴
CMS | セキュリティの特徴 | 備考 |
---|---|---|
WordPress | 利用者が多く、攻撃対象になりやすい。対策すれば安全に運用可能。 | 全Webサイトの43%が使用。拡張性が高い分、管理が必要。 |
Joomla | WordPressよりもセキュリティ意識が高いが、利用者が少なく情報も少ない。 | 開発者向け。初心者にはやや扱いにくい。 |
Drupal | 政府機関などでも使われる高セキュリティなCMS。 | 柔軟性が高いが、開発スキルが必須。 |
Wix / Shopify | SaaS型なので、セキュリティ管理は運営側が対応。 | カスタマイズ性が低いが、手軽に使える。 |
結論:
- WordPressは攻撃を受けやすいが、適切な対策をすれば安全に使える。
- 他のCMSも安全とは言い切れず、それぞれメリット・デメリットがある。
- 「セキュリティ管理を自分でやりたくないならSaaS型CMS、自由度が欲しいならWordPress」 という選び方がオススメ。
最後に
WordPressは適切な管理をすれば安全に利用できるCMSです。
攻撃を受けやすいという事実はありますが、それはWordPressの 利用者が多い=魅力的なプラットフォーム だからです。
「WordPressが危険だから使わない」という選択をするのではなく、 リスクを理解した上で適切なセキュリティ対策を講じることが重要 です。
本記事で紹介した対策を実施すれば、 サイバー攻撃のリスクを大幅に減らすことが可能 です。ぜひ実践して、安全なWordPressサイト運営を目指しましょう!